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まちづくりと建築家

2月14日のブログで、田中惇敏さんの空き家活用プロジェクト「自走する建築ストック」がグッドデザイン・ニューホープ賞に入選したことを紹介しました。このブログを書いていたときに思いだしたことがありました。本日はそのことを。

いわゆる「まちづくり」において、住民意見の集約や合意形成のためにおこなわれる手法に「ワークショップ」があります。気仙沼でも震災後のまちづくりのために多くのワークショップがおこなわれたと思います。

本来は「工房」的な意味をもつ「ワークショップ」という言葉は、演劇やダンスなどでの体験型講座でも用いられてきました。そして、これを「まちづくり」分野での手法用語として使ったのは、米国の環境デザイナーであるローレンス・ハルプリンです。妻のアンナが、ダンスのワークショップをおこなっていたことが背景にありました。

私はローレンス・ハルプリンが来日したときの講演を聴いたことがあります。年月がちょっとはっきりしないのですが、たぶん1979年のこと。たしか芝公園にあった米国の文化・芸術の広報機関アメリカンセンターの小ホールでした。

当時私は、マーケティングや商品開発などのコンサルタントである森口以佐夫さんの事務所につとめており、担当した仕事のひとつが商店街に駐車場をつくってもらうための支援プロジェクトでした。駐車するところがなければ自動車も売れなくなるということでの自動車会社の施策です(今なら自動車メーカーと書くところですが、当時この会社は「自販」と「自工」がわかれていました)。

業務としては駐車場計画のためのマニュアルづくりや事例を紹介したニューズレターの発行などです。そんなこともあって、講演会にいって話を聴いてこいということになったのだと思います。私が多摩美の建築出身ということを知っている森口さんの配慮でもあったでしょう。

ローレンス・ハルプリンは、米国ミネソタ州ミネアポリスのニコレット・モールにおける事例などを紹介してくれました。道路をわざと湾曲させたり舗装面をでこぼこにしたりして車の走行スピードをコントロールする手法や噴水広場など。もちろん住民が参加してのワークショップの様子も。

◎アメリカンセンター小ホールの階段

アメリカンセンターの小ホールは階段教室のようになっており、各席に同時通訳のレシーバーが置かれていました。初体験なのではじめは操作がわかりませんでしたが、なんとかなりました。慣れた風を装いながら(笑)。

講演会の開始直前、椅子列の右端に座っていた私の隣、中央階段部に男性が座りこみました。なんと磯崎新(いそざき・あらた)さん。当時すでに著名でしたからすぐにわかりました。オレの隣にあの磯崎さんが。

その磯崎新さんが2022年12月28日に亡くなりました。訃報記事には、〈ポストモダン建築の旗手〉とか〈2019年「建築界のノーベル賞」米プリツカー賞受賞〉といった言葉が。老衰のため那覇市内の自宅で死去。91歳であったと。

磯崎さんは丹下健三研究室の一員でもありました。1970年の大阪万博ではお祭り広場の装置設計にも携わっています。当時を回想する磯崎さんのインタビュー記事のなかには、〈それまで僕は丹下健三さんのもとで、建築と都市をつなぐ都市デザインを手がけていました〉とありました。

私の勝手な想像ですが、磯崎さんがローレンス・ハルプリンに関心をもったのは、マクロな〈都市〉計画に関する知見を前提として、ミクロな〈地域/まち〉に暮らす住民という視点からだったのではないかとも。

40数年前、ジーンズを履いてホールの階段に座りながらローレンス・ハルプリンの話を聴く、磯崎新さんの若々しい姿を思い出します。合掌


磯崎新

磯崎新さん(2001年)Wikipediaより

 
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テーマ : 気仙沼
ジャンル : 地域情報

tag : ローレンス・ハルプリン磯崎新

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気中20/小田

Author:気中20/小田
このブログは、東日本大震災で被災した気仙沼中学校第20回卒業生(1967年3月卒/71~72歳)たちを支援する首都圏在住者「気中20回生支援会」ブログとして始めました。いまは、気仙沼出身東京在住者による気仙沼情報ブログとして、魚町育ちの小田(気中3年8組)が書いています。

Twitter: @kechu20

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