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「冷蔵庫創業の地」

気仙沼市南町の柏崎下にあった「冷蔵庫創業の地」記念碑が再設置されました。菅原茂市長の10月18日ツイートを紹介します。日本初の水産物冷蔵庫であると記しています。


10月19日の三陸新報もつぎのように伝えています。


記念碑

三陸新報10月19日記事の一部イメージ


三陸新報は、「水産物の保管を目的とした国内初の大型業務用冷蔵庫・葛原冷蔵」としていますね。

記事によれば、この記念碑は気仙沼製氷冷凍業協同組合(建立時は気仙沼製氷冷凍組合)が創立40周年を記念して1993年に葛原(くずはら)冷蔵跡地に建立しました。

震災の津波で流出しましたが、大きな損傷がない状態で発見され、しばらくは元の場所に仮置きしていました。しかし区画整理や防潮堤整備のために2017年ごろに撤去、保管していたそうです。

そして、「冷凍食品の日」(日本冷凍食品協会制定)にあたる10月18日に、同組合が再設置し除幕式をおこないました。

この記念碑はなつかしい。さほど大きなものではありません。以前の海岸前郵便局や銭湯/気仙沼湯の左方向にありました。

◎記念碑の碑文

碑文を記しておきましょう。漢数字は私が洋数字に換えております。


冷蔵庫創業の地

我が国初の本格的冷凍工場が山口県小郡町の人葛原猪平氏により大正9年(1920年)この地に建設され水産物の凍結冷蔵が行われた 日本における冷凍事業のはじまりである 気仙沼製氷冷凍組合の創立40周年にあたり氏の偉業を顕彰し慈に記念碑を建立する

平成5年12月


碑文は以上です。はじめはこれでおわるつもりだったのですが、「気仙沼市史」を調べてみたら、そうもいかなくなってきました。ちょっとしつこい話になっておりますが、どうぞおつきあいください。

◎気仙沼市史における記述

葛原猪平は〈くずはら いへい〉と読みます。「気仙沼市史」第5巻 産業編(下)p340には、つぎのように記されていました。

大正9年、南町柏崎に葛原冷蔵庫ができた。冷蔵力500トン、製氷日産10トンの産地冷蔵施設で、北海道の森町(もりまち)(噴火湾)と同年の建設である、葛原は後に日本の冷蔵王といわれた豪商であった。12年に増築し重役の木下氏が引受け「木下冷蔵庫」と改称した。(引用は以上)

〈北海道の森町(噴火湾)と同年の建設〉というのはどういうことだろう。

さらに調べてみると、「気仙沼市史」第4巻 近代・現代編(下)p327・328に、「葛原冷蔵の出現」との見出しをたてた詳しい記述がありました。

つぎの文章で始まります。「日本で初の本格的な凍結設備を持つ冷凍工場が建設されたのは気仙沼と北海道の噴火湾に臨む森町で、大正9年のことである。気仙沼で南町柏崎下に建設された葛原冷蔵気仙沼工場で、森町も葛原猪平の創設である。」

〈〜葛原冷蔵気仙沼工場で、〉という文章がちょっとわかりにくい。葛原冷蔵気仙沼工場も森町(の工場)も葛原猪平の創設ということでしょう。

そして葛原猪平に関する詳しい説明などが続き、最後につぎのように記しています。「昭和4年(1929)、北海道森町では日本冷凍事業発祥地の記念碑を建立した。」

◎日本の冷凍食品発祥の地

ネット情報を調べてみました。たしかに葛原冷蔵庫が建設された1920年(大正9年)と同年に、葛原猪平は北海道森町(もりまち)にも凍結能力日産10トンの冷蔵庫を建設していました。そのことをもって同町は、「日本の冷凍食品発祥の地」であるとしています。

冷凍食品エフエフプレス配信記事によれば、2021年10月13日には、同町で「冷凍食品事業発祥100周年記念碑」除幕式がおこなわれました。100周年は2020年でしたが、新型コロナの関係で1年延期したそうです。

また、つぎの「発祥の地コレクション」記事によれば、葛原猪平の「森冷凍庫」はその後「葛原冷蔵㈱」となりますが経営陣が交代して「東洋冷蔵㈱」と改称。さらに戦時中の1942年には 国策により水産会社17社が統合し「帝国水産統制㈱」となり、戦後1945年に「日本冷蔵㈱」、1985年に「㈱ニチレイ」と改称されました。

森町教育委員会による説明文にはつぎのように記されているそうです。「大正9年(1920)8月25日、山口県の人葛原猪平氏が森沿岸の豊富な魚に注目し、当時人家もほとんどなかった港町に我国最初となる、最新設備の冷凍食品工場が建ちました。」

こうして資料をながめると、葛原猪平が建設した気仙沼と森町ふたつの冷凍冷蔵庫はどちらも同じような冷凍能力をもっていたようです。そして両方とも豊富に水揚げされる魚の冷凍が当初の狙いであったように思われます。

つまり、大正9年(1920)8月25日に葛原猪平が日本初の本格的な冷凍工場を2か所に建設したというあたりの表現が順当なのでしょう。

冷凍業界の関係者はこのあたりの話はよく知っていると思います。そのうえで、森町は〈冷凍食品〉、気仙沼は〈水産物〉という条件付けによって、いずれも〈日本初の〉と称しているのではないかと。それと冷蔵庫と冷凍庫の違いとか。

それでもどっちが先なのかという方がいるかもしれないので(いないか)、参考まで記しておくと、気仙沼文化史年表には、市史を典拠として5月10日に冷蔵工場建設としてあります(ただし、上に紹介した市史記述には月日記載はなし)。そして森町については、上述した教育委員会の記述では8月15日。なんの日付かわかりませんが、気仙沼のほうが3カ月ほど早い(笑)。

ここまでにしておきますが、気仙沼製氷冷凍協同組合の理事長をつとめる岡本製氷/岡本先輩(いっこ上の気中19回生)に会うことがあれば聞いてみてください。〈実際のところどうなのよ〉と。

葛原猪平に関する市史記述は、回をあらためて紹介します。本日はこれにて。
 
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テーマ : 気仙沼
ジャンル : 地域情報

tag : 冷蔵庫創業の地記念碑

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気中20/小田

Author:気中20/小田
このブログは、東日本大震災で被災した気仙沼中学校第20回卒業生(1967年3月卒/71~72歳)たちを支援する首都圏在住者「気中20回生支援会」ブログとして始めました。いまは、気仙沼出身東京在住者による気仙沼情報ブログとして、魚町育ちの小田(気中3年8組)が書いています。

Twitter: @kechu20

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