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廃漁網リサイクル

気仙沼市は、2019年5月に学識経験者や関係団体の代表者などからなる「気仙沼市海洋プラスチック対策推進会議」を設置して、具体的な取り組みを協議し、同年9月には「気仙沼市海洋プラスチックごみ対策アクション宣言」をおこなっています。

市サイト/同推進会議関連ページ

同会議の目的はつぎのように記されています。

〈海洋プラスチックごみによる海洋汚染は、本市の基幹産業である水産業への影響も懸念され、「魚食健康都市」や「スローフード」を宣言し、「海と生きる」 を標榜する本市としても身近で重要な問題として捉えており、“海洋プラスチックごみゼロ”に向けて、全国に先駆けた取組とSDGs(持続可能な開発目標) の推進を目指すものです。〉

本日はこの「海洋プラスチック対策」に関する話です。まずは気仙沼市の菅原市長の2つのツイートを紹介します。5月30日のツイートから。


これはは公益財団法人WWFジャパンと連携して、漁網を回収してリサイクルする「漁網のみらいプロジェクト」をスタートする発表会です。WWFジャパンは、国際的NGO「世界自然保護基金(WWF)」の日本支部組織です。WWFのロゴは、パンダがシンボルとして使われており、皆さんもよくご存じのことでしょう。市長のツイート写真にもその着ぐるみがうつっています。

このプロジェクトでは、漁協によるサポートを得て漁業者から使用済み漁網を回収し、リサイクル専門会社テラサイクルジャパン社がリサイクル原料化をおこないます。そして協賛企業を募ったうえで漁網再生製品の製造・販売をおこなうというもの。詳しくはつぎのプロジェクトサイトをご覧ください。

漁網のみらいプロジェクト
WWFジャパンからのプレスリリース

WWFジャパンと気仙沼市は、2019年からの教職員向けESD(持続可能な開発ための教育)研修でのご縁があったようです。

以上、なんというかいい話が続くのですが、市長ツイートでも紹介されていた5月30日のプロジェクト発表会〈進水式〉に関する報道を見ていて、ちょっと微妙というかモヤモヤっとしたものを感じたのです。

それはすでに気仙沼で計画されている同種のプロジェクトのことが頭をよぎったからです。

◎加藤広大さんのプロジェクト

つぎに紹介するのは菅原市長の4月26日のツイートです。


株式会社amuの加藤広大さんが、「北かつ」の勝倉宏明組合長とともに市長を訪ねたとのこと。

「北かつ」は、「宮城県北部鰹鮪漁業組合」。気仙沼の遠洋かつお・まぐろ漁業を営む漁業者により組織された漁業組合です。「ほっかつ」と読みます(私は気仙沼に暮らしていたころ〈きたかつ〉かと思っていました)。鰹鮪が〈かつおまぐろ〉です。念のため。

同組合のサイトをみると、現在の組合員は10社。よく知る会社名がならんでいます。所属船は遠洋まぐろ延縄(はえなわ)漁船24隻に遠洋かつお竿釣り漁船2隻です。

加藤広大さんは〈廃漁網を回収、生地にして「100年着れるジャケット」を作るプロジェクト〉を構想し、2021年9月に株式会社amuを設立しました。amuは〈あむ/編む〉という含意があるのでしょう。

勝倉さんは、北かつの組合長です。勝倉漁業さんによる「勝栄丸ブログ」の6月29日記事には、〈昨年12月の北かつ組合理事会にてamu(株)への全面的な協力を決定して以来、組合所属船が帰港した際などに使えなくなった幹縄ナイロンテグスなどを陸揚げ集荷、かなりの数量が提供されています〉と記してありました。今週はじめには、amuとの廃漁網・ナイロンテグスリサイクルの進捗状況についての説明会があり、北かつ組合のメンバーが集まったとも。

◎競合しているのかどうか

WWFジャパンのプロジェクト発表会の報道をみていて感じたモヤモヤというのは、それが加藤広大さんのプロジェクトとかぶっているのではないかと思ったからでした。つまり、〈競合〉しているのではないかと。

気仙沼市の「海洋プラスチックごみ対策アクション」の推進という観点からは両者がそれぞれ頑張って使用済み漁網の再利用が進めばそれでいいとは思うのです。ただ、もし競合しているとすれば、組織力や資金力のあるWWFジャパンとの競争はなかなかに厳しいものがあるのではないかと。市との連携の有無ということについても。

◎地域おこし協力隊の一員

加藤広大さんにお目にかかったことがあります。2019年11月30日に東京・大手町で開催された「気仙沼を元気にする会」でのことです。加藤さんはゲストスピーカーのひとりでした。地域おこし協力隊の一員として気仙沼に来て、気仙沼市移住・定住支援センター「MINATO」のスタッフのひとりとして活動。気仙沼の天然ホタテガイ幼生を使っての養殖プロジェクトも進めていると紹介されました。このホタテガイのプロジェクトは実現しなかったようです。

加藤さんはこのたび地域おこし協力隊の任期をおえ、6月17日には市役所で退任辞令の交付式がおこなわれています。6月19日の三陸新報には、加藤さんが今後も気仙沼で活動を続けていくことや、菅原市長からの今後の活動に対する激励の言葉を紹介していました。

◎加藤さんのクラウドファンディング

加藤広大さんはいま、「廃漁網を未来の資源に。味方100人を集めたい!」というクラウドファンディングを展開中です。ファーストゴール100万円はすでに達成し、いまは500万円をネクストゴールとしています。締め切りは本日7月1日午後11時です。詳しくはつぎのサイトをご覧ください。このプロジェクトの趣旨に賛同して協力している人達も紹介されています。北かつ組合の組合員でもある臼福本店の臼井壯太郎代表の姿も。民宿つなかんの女将さんから紹介してもらったとのこと。

READYFOR/クラウドファンディングページ

加藤さんのプロジェクトは多くのメディアで紹介されていますが、ここでは読売新聞オンラインの記事を紹介しておきます。

読売新聞オンライン6月13日配信記事

ちょっと長くなりましたが、気仙沼における廃漁網リサイクルに関するふたつのプロジェクト紹介は以上です。

最後にひとつ付け加えると、amuさんの廃漁網リサイクルプロダクトがジャケットでいいのかどうかも私のモヤモヤのひとつでした。このあたりは、気仙沼ビズの𠮷澤貴幸さんの知恵を借りてはどうかと思ったのです。しかし、すでに気仙沼ビズの6月10日のブログに「気仙沼ビズも加藤さんの活動を応援しています!」という記事がありました。相談案件かどうかは別として、ちょっとホッとしました。

なお、気仙沼市の「海洋プラスチックごみ対策アクション」は、廃漁網など漁船から出るものだけを対象にしたものではありません。海洋プラスチックごみの約8割が陸上起因といわれており、市では陸上でのプラスチックごみ削減と流出抑制にも取り組んでいます。念のため申し添えます。

WWFジャパンと株式会社amuのプロジェクトが競合しているのかしていないのか、実のところよくわかりません。しかし、重なりあうところがかなりあるにしても、どこかにビジネスモデルの違いがあって、両方ともうまくいってほしいというのがモヤモヤの裏側にある私の正直な気持ちです。

東京は今日も相当な暑さ。気仙沼もかなりなものでしょう。どうぞ体調にくれぐれも気をつけてお過ごしください。
 
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テーマ : 気仙沼
ジャンル : 地域情報

tag : WWFジャパン加藤広大

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気中20/小田

Author:気中20/小田
このブログは、東日本大震災で被災した気仙沼中学校第20回卒業生(1967年3月卒/71~72歳)たちを支援する首都圏在住者「気中20回生支援会」ブログとして始めました。いまは、気仙沼出身東京在住者による気仙沼情報ブログとして、魚町育ちの小田(気中3年8組)が書いています。

Twitter: @kechu20

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