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長峯教授の森川海

9月22日のブログで、慶應義塾大学教授である松井孝治さんの「おかえりモネ」に関するツイートを紹介しました。その記事を書きながら、以前に気仙沼出身の関西学院(かんせいがくいん)大学教授の長峯純一さんと、松井さんや〈新しい公共〉について話したことがあったことを思い出しました。長峯さんは、同大学の副学長のひとりでもあります。

いつだったろうと調べてみたら、2017年10月1日の気仙沼高校関東同窓会による文化講演会後の懇親会のことでした。この日、明治大学 駿河台キャンパス内で、長峯さんが講演してくださったのです。テーマは、「気仙沼で育まれた経済学者への道-公共財としての森川海そして流域」です。



長峯さんの話は2回にわけてブログで紹介しました。1回目は長峯さんの〈実家〉である気仙沼市三日町の日本バプテスト気仙沼教会/愛耕幼稚園のことなど。長峯さんのお父さんが牧師をつとめていました。

2017年10月11日ブログ「長峯教授の話〜1」

そして、2017年10月12日ブログ「長峯教授の話〜2」では、長峯さんの研究テーマと気仙沼との関わりについて紹介しました。

本日はそのブログを再掲いたします。長峯教授の研究テーマのひとつが〈流域マネジメント〉です。その話の内容はNHK朝ドラ「おかえりモネ」のテーマとも重なりますし、畠山重篤さんとバプテスト気仙沼教会の関わりなどについても記しております。ちょっと長いのですが、お手すきのときにでもお読みいただければと。


2017年10月12日ブログ再掲

長峯教授の話〜2

きのうに続き、10月1日の気仙沼高校関東同窓会による文化講演会についてです。講師は関西学院大学副学長の長峯純一さん。本日は、長峯さんの研究テーマと気仙沼との関わりについて紹介します。

まずはじめに、話の中に出てきた経済学者のお名前を記しておきます。ポール・サミュエルソン、ジェームズ・ブキャナン、マンサー・オルソン、デニス・ミュラー、ウォーレス・オーツなど。私にはよくわかりませんが、経済学に詳しい方が見れば、小さなころから地理が好きだった若者が経済学の面白さにひかれ、〈公共財〉や〈公共選択〉といった専門分野に入り込み、〈地方分権〉を論ずるに至る道筋がわかるのでしょう。

公共財に関する話のなかでは、〈流域〉という言葉がキーワードになっていました。長峯さんは10年前の約2年間、アメリカのメリーランド大学に留学しました。同大学には上にも掲げたミュラーやオーツなど、公共選択論や地方分権の先達もおりましたから、絶好の研究環境だったことでしょう。

長峯さんは、この留学時にワシントンDC東部にあるチェサピーク湾の汚染とその復元計画〈チェサピーク・プログラム〉を詳しく知ることとなります。アメリカとカナダにまたがる五大湖がひとつの河でつながっており、その汚染が問題になっていた/いるといった話もあったように思います。

そして長峯さんはこのアメリカで、気仙沼と自らの研究テーマとの関係、重なりというものに気付くのです。気高関東同窓会の案内に記された長峯さんの講演テーマを引用します。

◎気仙沼で育まれた経済学者への道
-公共財としての森川海そして流域

私は、高校まで気仙沼で育ち、その後、経済学(財政学・公共選択論)の研究者を志すことになった。当初、気仙沼と自分の専門・研究とは関係ないことと思っていたが、ある時、それが大いに関係することに気が付いた。気仙沼では「森は海の恋人」運動に始まる森・川・海をつなぐ活動が注目されるようになっていたが、それが研究テーマとしてきた「公共財」や公共選択の格好の対象になりうるということである。そもそも私が経済学の中で公共財に関心を抱いたのは、むしろ気仙沼で育ったからではないかとさえ感じるようになった。私の中で、経済学と気仙沼をつなぐキーワードは「流域」、つまり森川海である。今回、私の現在までの生い立ちを振り返りながら、なぜ気仙沼と経済学、そして流域というテーマがつながったのかを説明してみたい。さらに東日本大震災からの復興を考える上で、流域という視点の重要性にも言及を試みたい。(引用は以上)

長峯さんは話のなかで、畠山重篤さんを古くから知り、その植樹活動にも参加していたと語っています。それを聞いて私はなるほどと思いました。畠山重篤さんはクリスチャンです。日本バプテスト気仙沼教会に属す教会員のひとりとして、昨年2016年の愛耕幼稚園創立100 周年にあたっての記念講演もおこなっています。重篤さんの入信時期はわかりません。しかし、唐桑の地へのキリスト教伝道を積極的におこなったのは、純一さんのお父様である長峯英雄牧師なのです。気仙沼市史第7巻「民俗 宗教」の日本バプテスト気仙沼教会における長峯牧師の業績が列挙されるなかに「年間主題の設定および唐桑伝道再開(昭和38年)」との記述がありました。このあたりの経緯は、昨年の畠山重篤さんの記念講演で話されたかもしれません。

長峯純一さんは、自らの研究テーマのひとつである〈流域マネジメント〉の話のなかで兵庫県の武庫川をはじめとしていくつかの事例を紹介してくれました。2004年には宮城県に対して大川流域計画を提案したものの、行政の壁は厚かったようです。防災や水資源そして環境といった問題を〈流域〉全体として最適化しようという考え方は、複数の自治体を横断するテーマとなります。それだけに、自治体の縦割り行政の弊害を感じることも多いのでしょう。長峯さんは気仙沼市震災復興会議の委員もつとめていますが、そこでも同様の経験をしていると思います。

話が長くなりましたね。この辺にしておきます。本日のテーマは、長峯さんの講演内容をお伝えすることではありません。昭和35年(1960年)4月に長野県の松本バプテスト教会から長峯英雄牧師が気仙沼教会に着任することがなければ、〈森は海の恋人〉の活動をはじめとする気仙沼における環境保護活動は、その様相を変えていたのではないか。そうした私の勝手な想像をお伝えできればと思ったのです。

森の片隅に植えられる一本の苗木とその成長。さらに、森に始まる源流が流域を潤しつつ周囲の流れを集めて海に至り、さらに多くの生命を育むイメージ。そして、プロテスタントの牧師 長峯英雄の思いが息子純一に受け継がれていくイメージ。そのふたつが私の頭のなかで重なり合ったのです。

講演会には気仙沼高校の在校生3名が招かれていました。参加を希望した鹿折と大谷からの女子2名と古町からの男子1名です。日帰りとのことでしたが、上京に伴う費用は関東同窓会が母校に毎年おくっている寄付金でまかなわれたとのことです。同窓生の母校を思う気持ちのこもったお金がこうして生かされたことを大変うれしく思いました。その多くの人の献金が、山に植えられた一本の苗木と同じように感じられたのです。

最後に写真を一枚紹介します。上述した気仙沼市史のなかにあった日本バプテスト気仙沼教会の〈三日町時代の礼拝堂〉です。

礼拝堂
気仙沼市史第7巻「民俗 宗教」p622 掲載写真


うつっているのは長峯英雄牧師でしょう。この写真を見ていると、先日の講演会での長峯純一さんの姿が重なってくるのは私だけではないでしょう。というか、私だけかもしれません(笑)。

(再掲内容は以上)

どうでしょうか。私が「おかえりモネ」のテーマと重なると申し上げた意味がご理解いただけたのではないかと。

ちょっと固くなったので、最後に「長峯教授の話〜1」で紹介した懇親会のスナップ写真を一枚。長峯さんは、気中26回生で私の妻とも同級生です。菅原茂市長も同じく。そんなことで、懇親会で同級生に囲まれる長峯教授、というか〈長峯クン〉の笑顔を。前列中央が長峯さん。私の撮影です。

2695.jpg


長峯さんは、震災後の大島復興を支援する「気仙沼大島未来チーム」にも参加していました。そうした大島との深い関わりをもつ長峯さんが、「おかえりモネ」をどのような気持ちで見ているか。そんな話をお互い遠慮することなく話す日がくればなによりと思っております。

よい週末をお過ごしください。
 
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テーマ : 気仙沼
ジャンル : 地域情報

tag : おかえりモネ長峯純一畠山重篤

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気中20/小田

Author:気中20/小田
このブログは、東日本大震災で被災した気仙沼中学校第20回卒業生(1967年3月卒/71~72歳)たちを支援する首都圏在住者「気中20回生支援会」ブログとして始めました。いまは、気仙沼出身東京在住者による気仙沼情報ブログとして、魚町育ちの小田(気中3年8組)が書いています。

Twitter: @kechu20

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