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気仙沼駅の開業日

2月11日のブログで、JR気仙沼線の開通から今年で63周年を迎えたと記しました。ここで問題です。気仙沼駅ができたのはいつのことでしょうか。はじめに答を書いておきましょう。気仙沼駅は昨年/2019年に開業90周年を迎えました。

昨年10月13日の三陸新報で、「鉄道の日」10月14日におこなわれるJR気仙沼駅開業90周年イベントが紹介されていました。記事では、気仙沼駅の開業について次のように記しています。

気仙沼駅は、大船渡線(一ノ関~盛間)の延伸に伴い、太平洋戦争前の1929(昭和4)年7月に開業した。当時の住民は悲願の鉄路開通を喜び、町の発展に期待した。大船渡線の全線開通を経て、1957(昭和32)年には気仙沼線(気仙沼~本吉)も開業。前谷地までの全線開通は1977(昭和52)年で、仙台圏が近くなったことにより、大船渡線と合わせて人口交流が一層盛んになっている。(引用は以上)

◎目で見る気仙沼の歴史

たしか、『目で見る気仙沼の歴史』(昭和47年 気仙沼ライオンズクラブ発行)に、気仙沼駅の開業当時の写真が掲載されていたはずと思い探してみました。ありました。これです。


開通式

『目で見る気仙沼の歴史』より(P148・149)


説明文を引用します。

今の世は自動車優先であるが、大船渡線をしく昭和4年ころは、鉄道は「文化の母」「産業の父」といわれ、大歓迎された。昔から、“鉄道が欲しい”の声は、気仙沼だけでなく、沿線すべての人の願いだった。一の関までの磐仙鉄道(私設)、佐沼方面への登米軽便鉄道、本吉縦貫鉄道案、いろいろ政治、経済問題がからみ大論争となったが、ついに、昭和4年7月31日、気仙沼駅が開通した。大船渡線は、典型的な政治路線で、「なべつる線」と政治の横車がいまだに語られている。(引用は以上)

菅野青顔さんが筆をとったと思われる同書の説明文は、ときに独特の言い回しが気になることがあります。たとえば引用した文章中の「気仙沼駅が開通した」。開通ではなく開業だろうと思ったのですが、調べてみるとそう単純な話ではありませんでした。

◎気仙沼文化史年表

いつも利用させてもらっている「気仙沼文化史年表」(荒木英夫著)につぎの記述があります。

昭和4年6月30日 大船渡線気仙沼駅開業
昭和4年7月31日 大船渡線が気仙沼駅まで開通 町内祝賀で賑わう

ともに出典は「大気新聞」。つまり、気仙沼駅開業は6月30日で、大船渡線が開通したのは7月31日なのですね。三陸新報の記事で気仙沼駅は7月に開業としているのも正確ではないことになりますが、JR東日本/気仙沼駅の発表にしたがうなどしているのでしょう。

◎ウィキペディア

ネットのWikipediaの記述を見てみましょう。

1929年(昭和4年)7月31日:鉄道省大船渡線の駅として開業。

〈鉄道省大船渡線〉だったのですね。なにせ戦前の話。日本国有鉄道の発足は1949年です。

◎気仙沼市史

気仙沼市史にはどう書かれているのか。まずは第4巻「近代現代編」(p398)。〈大船渡線開通〉の項に、〈7月31日、ついに気仙沼駅の開業式が行われた〉との記述がありました。そして第5巻「産業編(上)」(p470)には〈町民待望の気仙沼駅開業は昭和4年7月31日だった〉と。

市史ではWikipediaと同じく7月31日開業としています。どうしよう。困ったなと思ったのですが、市史第5巻に掲載されていた昭和4年7月31日付け〈大船渡線開通の大気新聞記事〉写真に正解と思われる記述がありました。〈本日挙行される鉄道開通式〉との見出しで、催しの予定などが細かく書かれています。

これで「大船渡線7月31日開通」がはっきりしました。すると6月30日の気仙沼駅開業ってなんだという疑問もわいてきます。6月24日には、英国製の蒸気機関車が気仙沼駅に到着していますから、実質的な駅の業務が始まっていたことにまちがいはないのですが。

なんか、ここまで書いてきて、大船渡線気仙沼駅は1929年(昭和4年)7月31日開業でいいような感じがしてきました。「開業」の定義の問題かも。さらには「7月31日、気仙沼駅が開通した」でもいいかとさえ(笑)。

念のため申し上げれば、こうした細かなことを書き連ねるのは、誤記をあげつらうためではありません。歴史的事項の確定というのは本当に難しいということのあくまで一例として。私は企業の歴史/社史関連の仕事をすることもあるのですが、その難しさをいつも痛感しています。そして間違えることも。

なお、市史第5巻で〈町民待望の気仙沼駅開業は昭和4年7月31日だった〉とした第5章執筆者は、上述した「気仙沼文化史年表」の著者でもある荒木英夫さんです。現在の荒木さんだったら、気仙沼駅開業日をどう記すか。ちょっと聞いてみたいような気もします。また、「気仙沼文化史年表」の大船渡線気仙沼駅開業の項の4行上には、「6月18日 菅野青顔 大気新聞の文芸部長となる」とありました。菅野青顔さんが気仙沼市立図書館の館長だった時代に、荒木さんは長く副館長をつとめていたはずです。こうした人と時代の交錯が実に面白い(と思うのは私だけかもしれませんが)。

はじめは、『目で見る気仙沼の歴史』の写真だけを紹介するつもりだったのですが、横道にそれたあげく、気づかなかった落とし穴にはまってしまったようです。このへんで失礼いたします。

なお、この記事のほとんどは昨年10月13日の三陸新報記事を見た後にまとめてあったのですが、紹介の適当なタイミングが見つからずにおりました。そんな中、南気仙沼駅や気仙沼線の話題が登場したので、これ幸いにと。お蔵入りすることなく、日の目をみることができて原稿もよろこんでいることでしょう(笑)。

2月11日ブログ「気仙沼線 63周年」

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気中20回生支援会

Author:気中20回生支援会
東日本大震災で被災した気仙沼中学校第20回卒業生(1967年3月卒/67~68歳)たちを支援する首都圏在住同級生を中心としたグループです。魚町出身東京在住の3年8組小田が書いています。

twitter:@kechu20

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