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「第1昭福丸」進水

気仙沼の臼福本店さんの遠洋マグロはえ縄漁船「第1昭福丸」の進水式が11月22日に気仙沼市朝日町の「みらい造船」でおこなわれました。23日の三陸新報が伝えています。見出しは〈「改革型」新船が進水〉。

昭福丸
三陸新報11月23日記事より


記事によれば、同船は水産庁の補助事業を活用して昨年11月に着工しました。来年1月末の完成を経て、4月から大西洋でメバチマグロやクロマグロなどを漁獲します。総工費は約8億円。

見出しに〈斬新デザイン特徴〉とあるように、同船の外装は佐藤オオキさんに依頼したものです。昨年の着工を伝える記事を紹介したブログでも書いたのですが、なんていうか、記事の佐藤オオキさんの紹介がやはり気になりました。今回は〈東京・表参道などで店舗設計を手掛ける世界的なデザイナーの佐藤オオキさん〉。

記者の方は、昨年11月11月29日の記事を踏襲したのだと思いますが、昨年は〈東京・銀座などで〉だったのを今回は〈東京・表参道などで〉に変更しています。

佐藤オオキさんが代表をつとめるnendo(ネンド)は、国際的な活動で高く評価されているデザインオフィスです。そのことを昨年12月3日のブログ「nendoのマグロ船」にまとめておりますので、ちょっと長くなりますが再録します。


2018年12月3日ブログ再録

◎ nendoのマグロ船

先週の金曜日、11月29日の三陸新報。気仙沼の臼福本店さんの新造船起工式が11月27日におこなわれたのを受けての記事を読んで、ちょっと驚いたことがありました。

新造船

三陸新報11月29日記事の一部イメージ


記事を少し引用します。

「遠洋マグロはえ縄漁業を経営する気仙沼市魚町の臼福本店が、乗組員の労働環境に配慮した新船の建造を進めている。国内のマグロ船では初とされるインターネットが洋上で常時利用できる「Wi-Fi」を完備。デザインや機能性を重視した居室など、従来の漁船のイメージを刷新する設計で、若手乗組員の確保につなげたい考えだ。「改革型遠洋マグロはえ縄漁船」と銘打った新造船は総トン数が486トン。同社としては7隻名で、東日本大震災後の建造としては2013年11月に完成した「第18昭福丸」(439トン)に続いて2隻目となる」(引用は以上)

新造船のコンセプトは、居住環境に力を入れた「人が集まる魅力ある船」。若手船員の定着率の低さなどを受けてのことだといいます。私が驚いたのは、内外装を佐藤オオキさんに依頼したと記されていたこと。佐藤オオキさんという名はそうあるわけではありませんが、デザインオフィス「nendo(ネンド)」代表の佐藤さんでしょう。

三陸新報の記事では〈東京・銀座などで店舗設計を手掛けるデザイナーの佐藤オオキさんにデザインを依頼し、船体の内外装にもこだわった〉とあるのですが、これはちょっとポイントがずれているような気がします。佐藤オオキさんは、店舗などの空間デザインもおこないますが、家具や食器などとても幅広いプロダクトデザインを数多くてがけています。2006年にはNewsweek誌「世界が尊敬する日本人100人」の一人に選出されるなど、国内のみならず国際的に活躍しているデザイナーです。今年7月には、フランス国鉄の高速鉄道TGVのデザインを担当することが発表されました。2023年の運行開始です。

イタリアのミラノにもオフィスがありますが、東京オフィスは赤坂の草月ビルの中に。そして、以前にこのブログでも紹介したように、草月ビル2階にあるカフェ、コーネルコーヒーは、気仙沼のマザーポートコーヒーとnendo、そしてクラウドファンディングのミュージックセキュリティーズのコラボレーションで誕生したカフェなのです。マザーポートコーヒー/アンカーコーヒーを運営する気仙沼のオノデラコーポレーションさんは、はえ縄漁の漁具販売などもてがけています。そんなこともあって、専務の小野寺靖忠さんなどがnendoと臼福さんとの間をとりもったのではないかと勝手に推測しています。

三陸新報の〈東京・銀座などで店舗設計〜〉という記述は、今年1月にグランドオープンした資生堂の総合美容施設「SHISEIDO THE STORE」の空間デザインのことを指しているのかもしれません。銀座と聞くと、阿川佐和子さんが実行委員長をつとめる〈やっぱ銀座だべ〉プロジェクトから、臼井壯太郎社長と阿川さんとのご縁なども連想されるのですが。

記事に新造船の完成イメージが紹介されていますが、私はこのちょっとアールデコを思わせるグラフィックデザインにnendoらしさを感じませんでした。船の煙突/ファンネルに臼福の屋号「チガイヤマホシイチ」が記されており、その要素をモチーフにしているのか、いや船舶の国際信号旗からかなどと想像してもみるのですが、よくわからない。そのうちに詳しい情報が紹介されることでしょう。

今回のデザインでは、乗組員が洋上で長期間生活する居住部屋にはホテルの一室をほうふつとさせるデザインを採用したとのこと。従来の船より天井を高くしたほか、1人当たりの床面積を広くし、寝台も大きくするなどしたそうです。これはとてもよい試みですね。〈次世代マグロ船〉のひとつの特徴といってもよいでしょう。こうしたところにnendo/佐藤オオキさんらの知見が活かされたはずです。

こうした新たな試みを知って、私は2013年に実施された気仙沼の漁業関係者によるノルウェイ視察を思い出しました。その成果がこの新造船にもあらわれているのではないかと。これについてはまたあらためて。

なお、総工費は約8億円で、水産庁の漁業構造改革総合対策事業の補助金を活用し、建造はみらい造船吉田工場(市内波板)が請け負ったそうです。完成は来年10月を予定しています。

臼井壯太郎社長など臼福本店の皆様や佐藤オオキさんら関係者の方々に新造船起工のお祝いを申し上げます。新時代にふさわしい改革型遠洋マグロはえ縄漁船の無事の完成、進水を願っております。

佐藤オオキ/nendoサイト内プロフィール

(再録内容は以上)


佐藤オオキさんの真価がもっともいかされるのは、船の外装デザインではありません。それだけならば、こうしたスーパーグラフィックスをもっと得意とするデザイナーはほかにいるでしょう。私が知りたいのは、佐藤オオキさん/nendoが、漁船員の労働環境や居住環境をより良いものとするためにどのようなデザイン提案をしたのかということ。

そのあたりのデザイン的な成果については、来年1月末の完成時にあらためて紹介されることでしょう。さすがと思わせる仕事を見せてくれるはずです。

そうした大きな期待をこめつつ、臼福本店の臼井壯太郎社長はじめ関係者の皆さまにお祝いを申し上げます。「第1昭福丸」の進水、おめでとうございました。
 
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テーマ : 気仙沼
ジャンル : 地域情報

tag : nendo 佐藤オオキ 臼福本店

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プロフィール

気中20回生支援会

Author:気中20回生支援会
東日本大震災で被災した気仙沼中学校第20回卒業生(1967年3月卒/68~69歳)たちを支援する首都圏在住同級生を中心としたグループです。魚町出身東京在住の3年8組小田が書いています。

twitter:@kechu20

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