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「ラッツォクの灯」

一昨日、本日用のブログの準備をしていたとき、高橋弘希さんの「送り火」が芥川賞に選出されたとのニュースを知りました。驚きました。用意していた話が、送り火や迎え火についてでしたし、その話の原作者が芥川賞と並んで選出される直木賞の受賞作家だったからです。

本日は気仙沼での演劇のご紹介です。「コマイぬ」気仙沼公演「ラッツォクの灯(ひ)」。原作は熊谷達也さんの同名小説です。まずはポスターから。




【原作】熊谷達也
【脚本・演出】赤澤ムック(黒色綺譚カナリア派)
【出演】芝原弘(黒色綺譚カナリア派)牛水里美(黒色綺譚カナリア派)升ノゾミ(黒色綺譚カナリア派)
【日程】7月28日(土)19:00開演 (18:30開場)
【会場】K-port(宮城県気仙沼市港町1-3)
【料金】前売/当日共 2,500円
【チケット】カルテットオンライン/アンカーコーヒーマザーポート店/宮脇書店/K-portにて

詳細は、コマイぬサイト/「ラッツォクの灯」気仙沼公演をご覧ください。


はじめに〈ラッツォク〉について原作から引用すると、〈お盆の時の迎え火と送り火に焚くオガラのことだ。この地域の方言なのだが、平安時代の蝋燭(ろうそく)の読みが「らっちょく」あるいは「らっそく」だったのが転訛(てんか)したらしい、という説があるようだ〉。 この説明で、あれかと思う人も多いことでしょう。麻の茎(おがら)のはじっこに火がつきやすいように硫黄や樹脂などを塗ってあります。

「ラッツォクの灯」のストーリーを、公演のサイトではつぎのように紹介しています。〈津波により両親と家を奪われ、妹の瑞希とともに仮設住宅で暮らしていた翔平。震災の影響で心が荒む翔平だったが、瑞希の提案で「ラッツォク」を焚くことになり、 あの日以降止まっていた“時”と向き合う。東北の港町に生きる人々の姿を通して紡がれる、3・11からの再生の物語〉(引用は以上)

熊谷達也さんの「ラッツォクの灯」は、新潮社の「小説新潮」 2014年7月号に初出掲載された後、2016年3月10日に集英社から刊行された短編集「希望の海 仙河海叙景」に所収されています。仙河海(せんがうみ)シリーズのひとつですから、その舞台は気仙沼をモデルとした仙河海市。翔平と瑞希のすむ仮設住宅は〈市民運動公園〉の敷地にあります。気仙沼中学校庭下の気仙沼公園(市民グラウンド)内に建設された仮設住宅と思ってもよいでしょう。震災までは両親と一緒に住んでいた〈内の浦〉の自宅は津波で流されました。ラッツォクを焚くのはその跡地です。

「コマイぬ」による「ラッツォクの灯」は、2017年11月23日に、第二回いしのまき演劇祭参加作品として上演されました。そして8か月を経て、まさにその原作の舞台ともいうべき気仙沼での公演が実現したわけですからなによりのことです。

私はこの演劇を、前気仙沼図書館長で詩誌「霧笛」同人でもある千田基嗣さんのブログ「湾」2017年11月27日の記事で知りました。そのなかで千田さんは、〈悲しくも美しいドラマ〉〈この演劇作品は、一種の能として演じられたのだ〉と記しています。出演者は3人。会場も大舞台ではありません。千田さんが詳細なストーリー記述を避けつつ、この演劇を〈能〉に見立てたのは実に的確であると思いました。なお、今回の気仙沼公演にあたっての協力者のひとりとして千田さんのお名前があったことを記しておきます。

気仙沼公演の会場はK-port。これもなかなかいいですね。渡辺謙さんが建築家 伊藤豊雄さんに設計を依頼しました。その外観写真をはじめて見たときに連想したのが〈黒テント〉でした。私は1970年の10月に、仙台の西公園で行われた演劇センター68/70移動劇場(後の劇団黒テント)による「翼を燃やす天使たちの舞踏」を見ています。仙台で浪人していた時期。西公園に設営された大きな黒テントとその中で展開された演劇的な空間には圧倒されました。ストーリーなどはなにも覚えていないのですが、ソプラノサックスによる音楽にあわせ白タイツで踊る吉田日出子さん(当時26歳あたり)の姿はくっきりと。3月に気仙沼高校を卒業したばかりの18歳にはまぶしすぎた(笑)。

今回の公演の演出・脚本を担当する赤澤ムックさんや出演者3人は、赤澤さんが主宰する劇団「黒色綺譚(こくしょくきたん)カナリア派」所属です。劇団名にある〈黒色〉が〈黒テント〉を連想させたのかもしれません。なお、赤澤ムックさんは「紅(あか)テント」の劇団唐組に所属していたこともあるようです。赤沢さんがK-portを見るとき、赤か黒かは別にして〈テント〉を連想することでしょう。

話が脇にそれましたが、そんなこともあって、決して広くはないK-portの空間には通常の舞台やホールとはちょっと違う魅力があるのではないかと。千田さんのツイートによれば、演劇終了後には原作者の熊谷達也さんのトークタイムも予定されているそうです。このブログでも何度も書いていますが、熊谷さんは気仙沼中学での教師経験があります。当日は教え子もK-portに集まることと思いますが席数は50席とか。チケットの手配はお早めに。7月28日(土) K-portでの「ラッツォクの灯」。悲しくも美しい〈送り火〉そして〈迎え火〉の物語です。どうぞ、お見逃しなきように。


一昨年9月3日に、熊谷達也さんをお招きしての気仙沼サポートビューロ復興フォーラムについてはつぎのブログで記しております。お手すきのときにでも。

2016年9月5日ブログ「熊谷達也先生の話」


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初めてお便りします。
私は気仙沼出身で団塊の世代ですが、子供の頃踊った盆踊りは「気仙沼小唄」だと思います。作詞は同級生栗原さんのお父さんだと聞いています。
♪ 気仙 気仙沼 良い良い港
かつお万漁 しび万 万漁 ・・・
しっとりした良い唄でした。無くなって残念です。ネットに動画がありました。
ブログこれからも楽しみにしています。
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Author:気中20回生支援会
東日本大震災で被災した気仙沼中学校第20回卒業生(1967年3月卒/66~67歳)たちを支援する首都圏在住同級生を中心としたグループです。魚町出身東京在住の3年8組小田が書いています。

twitter:@kechu20

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