住民意見採用せず

気仙沼市魚町の防潮堤が県のミスで22cm高く施工されてしまった問題について、5月18日(金)の内湾地区復興まちづくり協議会/ワーキング会合の内容を、三陸新報と河北新報が報じていました。協議会が決めた方針に対し、村井県知事が伝えた施工ミスのまま工事を進めるとの方針に住民の反発が高まっています。少し長くなりますが、資料として記事内容を引用紹介します。

◎1-1:三陸新報5月19日の記事

5月19日

三陸新報5月19日記事の一部イメージ


三陸新報の記事から村井知事の方針説明に関する部分などを引用します。

「村井知事は、協議会員や住民を前に「これまで、防潮堤の高さ決定やフラップゲートの採用などまちづくり協議会と協議を重ねてようやくまとまった計画だが、このような事態となり、本当に申し訳ございません」と陳謝した。

県の方針としては、フラップゲートを含めた造り直しは高度な技術が必要なこと、安全性が高まった防潮堤の造り直しに県民の理解が得られないこと、造り直しに多額の費用が掛かることから「見直し前の高さのまま完成させたい」と説明し、理解を求めた。

一方、席上で地元の魚町2区自治会(藤田淳逸会長)が、地区民の総意として①防潮堤の造り直しを求める②土地区画整理事業を遅滞なく進める③対策決定プロセスを住民へ丁寧に説明する--を求める旨の要望書を、40人分の署名と共に(内湾地区復興まちづくり協議会の)菅原(昭彦)会長へ手渡した。(引用は以上)


◎1-2:三陸新報5月20日記事

19日の三陸新報の記事では、協議会としての対応方針がどのように決まったのかがわかりませんでした。見出しでの〈地権者--造り直しを〉という意見は協議会ではなく、あくまで魚町2区の地権者要望です。そう思っていましたら、翌日5月20日に続報が掲載されました。

5月20日
三陸新報5月20日記事の一部イメージ

記事の主要部を引用します。

「協議会内ではミス発覚後、「造り直し」と「現状維持」とで意見が分かれていたが、魚町2区自治会から要望を受けたことで、姿勢を造りなおしに一本化。知事との対話に臨んだ。これに対し村井知事は①造り直しは高度な技術が必要で完成時期が遅れる②より安全性が高まった防潮堤を造り直すことに県民理解が得られない③2~3億円と多額の費用が掛かる-の3点を挙げたほか、「『このままで良い』との声もあり、造り直しが総意ではないと受け止めている」と語った。その上で、「県全体の利益を考えると、このまま進めた方が良いと判断した。すでに意思決定しており、ミスも含めた全責任は私にある」と強調した。

協議会は「これまでの協議が無駄ではないか」「住民感情をくみ取っていない。怒りを覚える」と強く反発。しかし、村井知事は「皆さんの考えと逆の言葉を言っていると承知しているが、復興は立ち止まっていては進まない」と方針を固辞した。菅原会長は「会の意見の重さを受け止めて欲しい。知事の考えを受け、再度検討を行うが、時間は掛けられない。今月中にも知事と意見を交わす場を設ける」として閉会した。

報道陣の取材に対し、村井知事は「他案も検討するが、大きく方針が変わるような案は難しい。担当者には、このまま準備をするよう指示する」と答えた。出席した地権者の一人は「あまりに横暴な対応に言葉が出ない。全く納得できない」と怒りをあらわにした。

・区画整理事業は再開へ

席上、市は対応の一つとして挙がっていた「防潮堤背後の土地区画整理事業地内のかさ上げ」案を、協議会も県も考えていないことを確認した上で、「土地区画整理事業を進めさせて欲しい」と求め、了承を得た。これにより、施工ミス対応の結論を待たずに済み、宅地の造成がこれ以上遅れることは避けられる見通しとなった。」(引用は以上)


◎2:河北新報5月19日記事

5月19日の河北新報は、協議会としては「防潮堤背後地の土地区画整理事業には影響がない」などとして造り直しを求める方針でまとまった直後、村井知事はその協議会方針を採用せずに現状のまま設置する方針を断言したといいます。三陸新報記事にはなかった、菅原市長の「県の方々には、住民に対して聞く耳を持ってほしい」と口調を強めたとの記述がありました。配信記事はふたつにわかれていますが、以下につなげて引用します。

〈気仙沼・防潮堤施工ミス〉①
「宮城県全体の利益考慮」知事、現状維持案を提示

 東日本大震災で被災した気仙沼市内湾地区の魚町に建設中の防潮堤を宮城県が計画より22センチ高く造っていた問題で、村井嘉浩知事は18日、防潮堤を現状のまま設置する方針を明らかにした。同日、市役所であった住民団体「内湾地区復興まちづくり協議会」で、県の最終案として提示した。しかし、協議会は「防潮堤背後地の土地区画整理事業には影響がない」などとして造り直しを求める方針を決めたため、了承は得られなかった。

 村井知事は現状のまま設置する理由として(1)既に半分以上、工事が進んでいる(2)一部に設置済みの(津波襲来時に浮力で立ち上がる)フラップゲートの再設置には高い技術力が必要で時間がかかる(3)造り直しには2億~3億円の費用がかかる-の3点を挙げた。
 村井知事は「全ての責任は私にあり、おわびする」と謝罪した上で、「(工事の)進行状況が50%を超えており、県全体の利益を考えると後戻りせずに進めたい」と理解を求めた。造り直しには費用負担が生じる点にも触れ、「不安全な方向なら他の県民も納得するが、(高さが増し)より安全度が高まる防潮堤への税金支出は理解してもらえない」と説明した。

 県は今後も協議会との話し合いに応じる考え。今回示した最終案について村井知事は「最終の意思決定であり、大きく方針を変えることはない」と強調した。

〈気仙沼・防潮堤施工ミス〉②
「結論ありきか」住民不満噴出
1ヵ月議論した「造り直し」意見採用されず


住民の意向を無視するような宮城県政トップの姿勢に、内湾地区の住民が怒りを爆発させた。住民団体が約1カ月の議論を重ねて出した「造り直し」の意見を採用せず、村井知事は間違った高さのままでの建設を断言。住民たちは「これまでの議論は何だったのか」と不満をぶつけた。

「皆さんの総意とは正反対の意見かもしれないが、県全体の利益を考えて選択した。理解してほしい」。住民団体「内湾地区復興まちづくり協議会」が会合で協議し、「造り直し」の意見でまとまった直後、村井知事はこう切り出した。4月14日にミスが発覚後、住民団体は意見集約を続けてきた。「造り直し」か「現状のまま設置」かで割れる中、防潮堤の背後地にある「魚町二区自治会」が造り直しを強く求めたこともあり、最終的に造り直しを求める方針を決めた。

それと全く反する知事の発言。出席者からは「結論ありきだったのか」「われわれが評価しない物を造るのか。負の遺産が残る」など批判が噴出。菅原茂市長も挙手して発言を求め、「県の方々には、住民に対して聞く耳を持ってほしい」と口調を強めた。魚町二区自治会の藤田淳逸会長は「憤りを感じている。こんな横暴が許されるわけがない」と怒りをあらわにした。(引用は以上)

5月1日と2日に計3回ひらかれた住民への説明会で示された県の対応策は、①防潮堤の造り直し②背後地のかさ上げ③現状のまま設置の3案でした。そしてこれに対する住民の意見は①か③への二分された形となりました。

いずれの案になるにしても、その後の住民・地権者の異論や反論が生じるだろうことが容易に想像されました。私は、協議会の前日17日の河北新報配信記事で、県が防潮堤を現状のまま設置する案を提示する方針であることを知りましたが、その提示の仕方がこんな強硬姿勢を感じるものになるとは思ってもみませんでした。

村井知事が〈最終の意思決定であり、大きく方針を変えることはない〉と〈断言〉したという記事を読み、2013年8月6日に気仙沼で行われた市民と村井知事との防潮堤計画に関する意見交換会で、村井知事が、海中に設置する浮上式防潮堤は実験段階であることを理由に完全否定したときの言葉を思い出しました。「私の目が黒いうちは絶対に採用しない」と。結果としては、方式が異なるフラップゲート式が採用されたわけですが、このような強硬な物言いではまとまる話もまとまらないでしょう。

長くなりました。2013年8月のときの話は明日にでも。本日はこの辺で。しかしなんというか、今回の県の施工ミス、そして知事の対応姿勢にとても驚いています。これまで魚町や南町の内湾関係者が様々な課題を県の担当者らと時間をかけて協議し、なんとか合意に達した計画であるだけに本当に残念です。

5月4日ブログ「魚町防潮堤説明会」
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テーマ : 東日本大震災支援活動
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tag : 気仙沼 防潮堤 内湾地区復興まちづくり

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気中20回生支援会

Author:気中20回生支援会
東日本大震災で被災した気仙沼中学校第20回卒業生(1967年3月卒/66~67歳)たちを支援する首都圏在住同級生を中心としたグループです。魚町出身東京在住の3年8組小田が書いています。

twitter:@kechu20

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