「自立」という課題

きのう10月20日の朝は、気仙沼ニッティングの話題が続きました。まずはTBSテレビ(気仙沼では東北放送)の〈あさチャン〉。気仙沼での取材映像には、代表の御手洗さんはもちろんのこと大勢の編み手さんがうつっていました。そしてスタジオでは司会の夏目三久さんをはじめ、みんながセーターを手にとって編み模様や軽さに驚きの声を。発売が予定されている新商品〈見つける人〉もはじめて公開されました。これは、〈チェンジメーカー オブ ザ イヤー2015〉の紹介サイトで、御手洗さんが着ていたセーターですね。

そして読売新聞の朝刊を開けば、こんな感じ。

読売新聞
読売新聞10月20日朝刊より

〈論点スペシャル〉という特集記事で、東日本大震災の記憶の風化も指摘されるなか、今、被災地とどう向き合うべきかというテーマをとりあげていたのです。読売新聞の編集委員が話を聞いたのは、気仙沼ニッティングの代表である御手洗瑞子さんと、岩手大学教授の麦倉哲氏、NPO法人「1・17希望の灯り」前代表の堀内正美氏の3氏です。

御手洗さんは、支援に依存せずとも自立できるビジネスを育てることが大事だと、つぎのように語っています。

「 ブータン政府で外国籍公務員の「首相フェロー」として産業育成を担当していたときに震災が起き、いてもたってもいられず日本に戻った。親交があったコピーライターの糸井重里さんに誘われ、宮城県の気仙沼で編み物の会社を始めて3年。改めて実感するのは、被災地に関して犠牲者の追悼やインフラ整備と、経済の問題を分けて考え、手を差し伸べるだけではいけないということだ。

 まず多くの犠牲者に手を合わせ、被災者に寄り添いながら災害の教訓を後世に伝えることは忘れてはならない。被災者が再出発するための高台整備なども行政が強力に押し進めるべきだ。

 しかし、経済については、甘やかしてはならない。むしろ被災地として話題にされなくなったときにこそ、自立しているかどうかが問われる。「被災者が作ったから、買ってください」ばかりでは需要は続かない。

 漁網などの編む文化が根強く残り、編み物好きな女性が多い気仙沼の土地柄に着目し、会社を始めた。高い技能を持ったおばちゃんが在宅で特製の高級毛糸を使い、時間をかけて編む。数センチでも狂ったらやり直す。仮設住宅に住む人も多く、家事や子育て、介護などもあるが、妥協せず、難しいことに挑戦してきたから、いまがある。

 震災翌年の2012年あたりまでは、応援ありきで被災地の物がよく売れた。しかし、13年以降、被災地を前面に出した商売は苦しくなった。注目度が高いうちに、いかに本物の仕事をして人の心をつかむか。次にどこかで大きな災害が起きた時に教訓にしてほしい。

 発展途上国のブータンで実感したが、支援慣れしてくると、自立できなくなる。だから、被災地のビジネスには育てる態度で臨んでほしい。被災地の新しい加工食品を買った場合、厳しい感想のひと言を伝えてくれるだけでいい。張り合いになるし、勉強にもなる。「応援します」と買いながら、何も反応せず、一回きりのお付き合いで終わるのは被災地のためにならない。

 行政の支援にも疑問がある。例えば、震災前と同じ設備・施設の復旧などに支給されるグループ補助金。震災後、販路が縮小しているのに、補助金につられて身の丈を超えて投資し、稼働率が低くなって苦しんでいる事業者は多い。被災を機に得意分野に絞って再出発する好機だったのに、行政が誤って誘導した。

 ピンチをチャンスに変える。東北が将来、日本の被災地のお手本になるよう、種をまき、木を育て、森をつくる努力をしたい。」(引用は以上)

編集委員の河合正人さんが話を聞いてまとめた内容ですので、実際に話されたこととのニュアンスの違いはあるかもしれませんが、現在の気仙沼における事業復興の課題が率直に述べられていると思います。

〈支援慣れしてくると自立できなくなる。一回きりのお付き合いで終わるのは被災地のためにならない。補助金につられて身の丈を超えて投資し、稼働率が低くなって苦しんでいる事業者は多い〉。これらの言葉を切実に感じる気仙沼の人も多いのではないでしょうか。「自立」という大きな課題にどう立ち向かっていかなければならないのか。それを真剣に考えなくてはならない時期を迎えているようです。

そして10月30日(金)、『気仙沼ニッティング物語』刊行記念イベントとして御手洗さんのトークセッションが開催されます。会場は東京・神楽坂。同書の版元でもある新潮社の倉庫をリノベーションした「la kagu(ラ カグ)」です。ご都合のつく方は是非に。

◎世界一のセーターを作る仕事とは
◎10月30日(金)19:00〜20:30
◎会場:la kagu(ラカグ)2F
(新宿区矢来町67番地9)
◎料金:1500円
詳細とお申し込みはこのPeatixサイトより。

ずいぶん長くなってしまいましたが、読売新聞の記事をぜひ多くの方に読んでいただきたいと思い、全文引用させていただきました。どうぞよろしく。
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テーマ : 東日本大震災支援活動
ジャンル : 福祉・ボランティア

tag : 気仙沼 気中20 気仙沼中学 気仙沼ニッティング 御手洗瑞子

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気中20回生支援会

Author:気中20回生支援会
東日本大震災で被災した気仙沼中学校第20回卒業生(1967年3月卒/65~66歳)たちを支援する首都圏在住同級生を中心としたグループです。魚町出身東京在住の3年8組小田が書いています。

twitter:@kechu20

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