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萬有流転 熊谷武雄

10月31日の三陸新報1面コラム「萬有流転」に「田園歌人」とも称された熊谷武雄のことが記されていました。熊谷武雄は明治16年11月2日に手長山の麓、旧新月(にいつき)村に生まれ、今年で生誕140年になるとのこと。


萬有流転

三陸新報10月31日記事の一部イメージ


記事の冒頭を引用します。

〈 自然豊かな手長山(てながやま)(気仙沼市久保)の麓で、生を受けた田園歌人が今年、生誕140年の節目を迎えた▼前田夕暮、北原白秋はじめ、数多くの著名歌人と交流し、中央歌壇でもその実力が高く評価された、熊谷武雄のことである▼大政奉還から16年後の1883(明治16)年11月2日生まれ。20歳半ばで旧派の和歌から、新派の短歌に転換し、夕暮が主宰する「白日社」の同人として作品を発表した 〉(引用は以上)

熊谷武雄は、1936年8月21日に52歳で没したとのことです。当時の平均寿命などはわかりませんが、52歳と聞くと若くしてなくなったのだなあと感じます。(萬有流転の文中に〈帰依した8月21日は「熊谷武雄忌」であり〉とありました。「帰依(きえ)」に「死去」という意味があるのでしょうか)

筆者が〈特に武雄の魅力を感じている〉というのがつぎの歌。

手長野に 木々はあれど たらちねの 柞の影は 拠るにしたしき

柞は「ははそ」、拠るは「よる」と読みます。筆者は、この歌について、〈手長山には木々が群生し、柞(コナラやクヌギなどの落葉樹)のそばに行くと、まるで母と一緒にいるよう〉と記しています。「たらちね」は母の枕言葉。

(11/16追記:上記の歌中、「木々はあれど」について、ネット上では「木々はあれども」、「柞の影」は「柞のかげ」とする紹介例が多いようです。1次資料がないので確認できませんが、ここでは注意事項として記しておきます。標準的な表記例として、畠山重篤さんの著書における引用を以下に。
手長野に木々はあれどもたらちねの柞のかげは拠るにしたしき )

以前に熊谷武雄のことを書いたことがあります。2014年のつぎのブログです。

2014年12月12日ブログ「田園歌人熊谷武雄」

このなかで次のように記しています。

熊谷武雄は、気仙沼市久保(旧 新月村)の手長山の麓に生まれた歌人です。市の広報誌によれば、手長山の麓には廿一(二十一/にじゅういち)川が流れ、廿一の集落を形成していました。明治の中頃まで近郷きってのにぎわいを見せていたとのこと。

熊谷武雄は生涯をこの地で過ごしながら、前田夕暮(ゆうぐれ)が主宰する「白日社」同人となり、その歌誌「詩歌」に作品を発表します。そして大正4年に第一歌集『野火』を発行し、田園歌人として全国にその名を知られるようになりました。大正10年には、推されて新月村の村会議員にもなりました。昭和11年に52歳で亡くなっています。そして、武雄の孫 熊谷龍子さんは、前田夕暮の長男で「詩歌」を引き継いだ歌人 前田透に師事しています。(自ブログ引用は以上)

熊谷龍子さんの歌「森は海を海は森を恋いながら悠久よりの愛紡ぎゆく」という歌から、「森は海の恋人」という言葉が生まれたことも紹介しております。

「萬有流転」はつぎのように結んでいます。「古里の素晴らしさを改めて教えてくれる武雄の歌が、永遠に受け継がれていくことを願う。」

同感。その意味からも、地元紙で折に触れ「熊谷武雄」の名が記されることも意義のあることでしょう。ありがとうございました。

なお、「手長野に 木々はあれど」の歌碑が気仙沼の宝鏡寺の境内にあるとのことです。宝鏡寺。そうです。11月3日のブログで紹介した佐々木宏幹さんが育った曹洞宗の古刹です。

宝鏡寺は、熊谷武雄/熊谷家の菩提寺だったと思います。

こうしてつながるのもなにかの縁。仏縁というべきかもしれませんね。
 
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テーマ : 気仙沼
ジャンル : 地域情報

tag : 熊谷武雄萬有流転

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気中20/小田

Author:気中20/小田
このブログは、東日本大震災で被災した気仙沼中学校第20回卒業生(1967年3月卒/71~72歳)たちを支援する首都圏在住者「気中20回生支援会」ブログとして始めました。いまは、気仙沼出身東京在住者による気仙沼情報ブログとして、魚町育ちの小田(気中3年8組)が書いています。

Twitter: @kechu20

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