「茜」さんの記者席
本日紹介するのはちょっと前の話。4月12日の三陸新報コラム記事「記者席」です。

三陸新報4月12日記事より
同紙記者/ペンネーム「茜」さんによるコラム記事はつぎのように始まります。
〈…「ネギ、植えっとごさ」「種まいだけんと、さっぱりおがり悪くて」
言葉が分からず、なんとか理解しようとしているうちに、会話が終わってしまった。〉
気仙沼市本吉町大谷(おおや)で、農作業をする男性を取材した時のひとこまです。
「茜」さんは、小学校時代から住んでいた東京を離れ、この春に気仙沼に移り住みました。気仙沼の言葉/方言がわからなくても無理はありませんね。茜さんは、〈〝なまり〟が何を意味しているのか、見当もつかなかった〉と。
養殖ワカメ収穫の取材時にも、作業するおばちゃんたちの会話が聞き取れません。話のなかで、この春に東京から来たばかりだと伝えたのでしょう。おばちゃんがつぎの言葉を。
〈事情を伝えると「あら東京から。気仙沼に来てくれてありがとうね」と一言。その暖かい言葉にホッとした〉
なんというか、茜さんの気持ちとと共に、相手の気仙沼の人の心持ちが自然に伝わってきます。
はじめ私は、ペンネーム(茜)さんは若い女性だろうと思って読んでおりましたが、男性の可能性もありますね。たとえば、気中同級生の熊谷薫君(3年11組)は男性ですし(笑)。そして、若い方なのかどうかもよくわかりません。
文章はつぎのように結ばれます。
〈まずは多くの人たちと出会って話しを聞こう。「言葉に触れることが、人の心に触れること」。取材の原点を、しっかり学んでいきたい。 〉
これはまず、茜さん自身が自分に言い聞かせた言葉だとは思いますが、前半は自分と同様に〝気仙沼弁〟に慣れない人への励ましの言葉にもなっていますね。
「言葉に触れることが、人の心に触れること」
とてもいい言葉に触れることができました。「茜」さん、どうぞこれから、気仙沼のさまざまな人のいろんな言葉を三陸新報さんの紙面で伝えてください。楽しみにしております。