きのう7月4日のデーリー東北新聞のネット配信記事の見出し「青森県が八戸港の防潮堤整備計画を断念」。
デーリー東北7月4日配信記事のイメージ
調べてみたら青森県の地方紙〈東奥日報〉が詳しく伝えていました。
東奥日報2013年7月4日配信記事
少し長いのですが、資料にもなりますので以下に引用しておきます。
◎八戸港の防潮堤整備見送り
(青森)県は3日までに、東日本大震災で被害を受けた八戸港周辺に高さ3.5~6メートル、延長約24キロの防潮堤を整備する「津波防護ライン」計画について、集中復興期間(2011~15年度)内の実施を見送る方針を固めた。計画の可否や防潮堤の位置をめぐり、地元の住民や企業との意見集約が進んでいないため。5日に開く「八戸港復興会議」で考え方を示し、今後の方針や代替案を協議する。
防護ライン整備の総事業費は100億円を超えると見込まれ、県は、国の復興予算を活用する予定だった。復興予算を活用できる集中復興期間内での整備を見送れば財源確保は困難となり、防潮堤の整備計画は事実上、中断することになる。
津波防護ラインの整備は、国や県、八戸市、関係企業などで組織する八戸港復興会議が11年8月にまとめた復旧・復興方針に盛り込まれていた。県は12年度に防潮堤の高さなどを検討し、ことし3月に整備案を公表した。
防潮堤は、想定される最大クラスの津波ではなく、数十年~百数十年に一度と発生頻度が比較的高い津波への対処を想定。13年度一般会計当初予算に測量・設計費用など1億6480万円を盛っていた。
だが、県がことし5月に八戸市内で計4回開いた住民説明会で「景観を損なう」「海の状態が見えなくなり、かえって危ない」などの意見が出たほか、企業との協議では「通行の妨げになる」との意見や、土地の無償提供に慎重な声があった。防潮堤整備に賛同する住民や企業の間でも、設置位置について考え方が分かれていた。
県幹部は「地域の意見をしっかり聞いて施策を進める必要がある。合意形成に時間を要すると予測される中、集中復興期間内の整備は見合わせざるを得ない」と説明。「『津波を防御する』から『被害を抑える』という考え方に軸足を移して対策を検討していきたい」としている。
津波対策をめぐっては、防潮堤整備のほかに、沿岸部の企業から津波発生時に重機や車を一時的に避難できる「盛り土」の整備などを求める声が出ている。また、八戸港復興会議の復旧・復興方針では、震災の際に船やコンテナが漂流して構造物を壊したことで、船などについて「適切な流出防止策を講じる必要がある」としている。こうした点も含め、今後の検討が必要となる。
記事の引用は以上です。
国の復興予算を活用できる集中復興期間(2011~15年度)内での整備を見送れば財源確保は困難となり、防潮堤の整備計画は事実上、中断することになるそうです。事業費は100億円を超えると見込まれていたとのこと。
気仙沼市をはじめ、宮城県が巨大防潮堤計画の進行を急ぐ背景のひとつに、〈集中復興期間〉という条件があるのでしょう。つまり、急がないと国の予算が使えない。しかしなんかなあ。巨大防潮堤のための巨大予算。大地震への対策も含め、国としての防災・減災計画にはいろいろとお金がかかります。国としてもう少していねいな議論をしたうえで決めたほうがいいと思うのですが。
最後になりましたが、6月22の河北新報記事を紹介します。
「〈必要、でも高すぎる〉巨大防潮堤に困惑 気仙沼・唐桑」
私はネット配信で読んだのですが、この記事は朝刊第1面のトップに掲載されたそうです。ネット上でも、ツイッターで18万人を超えるフォロワーをもつ毎日新聞出身のジャーナリスト佐々木俊尚さんがリツイートするなど、注目された記事でした。記事には報道部・片桐大介さんの署名がありました。
河北新報6月22日配信記事
防潮堤をめぐる議論の流れが変わってきた。風向きも。その感を強くしています。
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