高すぎる堤防
さて、5月25日の三陸新報に、震災で被災した堤防の復旧について、宮城県が概要を公表したとの記事。見出しには、〈最大は小泉 14.7メートル〉とありました。

宮城県土木部河川課ホームページからの気仙沼関連地域の計画堤防高
http://www.pref.miyagi.jp/kasen/higashinihon_fukkyu/pdf_fukkyu/gaiyou__kaigan_teiboudaka.pdf
これまで堤防の高さなどについて、県からの情報発信は決して多くはありませんでした。新年度になって5月あたりから、地域住民に対して県と市の堤防計画の説明会などがなされるようになってきました。宮城県河川課ホームページでの計画概要の公表も、5月17日になされています。その中身は、そんなに新しい内容が含まれているようにも思えませんが、これまでは市の計画文書に〈参考資料〉として示されている形でしたから、一歩前進かもしれません。
しかし説明会に関する新聞記事を読んでいると、地域住民の理解を得るように努力するだろうけれど、意見を聴いて、その高さなどの計画を練り直すとはどうも思えないのです。
堤防の高さはどのような法律に基づいているのでしょうか。調べてみると、昨年11月に国土交通省と農林水産省による有識者検討委員会「海岸における津波対策検討委員会」の提言が示されています。これが、〈参考〉として被災各県に通知されたというわけです。この提言は、国会の議決を経た法律に基づいているわけではなく、あくまで関係省庁が定めた内容です。
国交省などは、これはあくまで参考ですよというのでしょう。しかし、地域住民の意見を受けて県が異なる計画にしようとすれば、相当のエネルギーがいることでしょう。
しかし不思議だ。以前、あれだけダムの建設に反対する声が高まったことがあったのに、この堤防の問題については静かなものです。市や県の役所や議会になにかを求めても難しい。やはり国会で議論してもらわなければいけないのでしょうね。国会で、気仙沼の堤防の高さを決めてくれと言ってるわけではありませんよ。有識者検討委員会の提言の実質的な拘束力をゆるめて欲しいのです。そうすれば、県や市の担当者も、単に計画を説明するだけでなく、地域住民の声をさらに真剣に聴きとってくれるように思うのですが。
いまの私には、昨年11月の「海岸における津波対策検討委員会」の提言が巨大な堤防のように思えてならないのです。
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